妊娠中の治療
歯の問題は年齢の若い方でも悩まれている方は少なくありません。特に女性の場合、妊娠中でもインプラント治療を受けられるのかどうかは大きな関心事になってきます。そこで、ここでは妊娠中の治療について説明していきます。現在、妊娠されている方はぜひお読みください。
必見!妊娠時の注意事項
女性の場合、妊娠中や授乳中は赤ちゃんへの影響を考えて、病院での治療や薬の服用はある程度制限されます。それは、インプラント治療においても同様のことが言えます。
妊娠中・授乳中にインプラント治療を希望される場合、埋め込み手術の時期と妊娠の時期に注意が必要になります。そこで、妊娠初期・安定期・後期に分けて、インプラント治療をおこなえるかどうかを下記(▼)にまとめてみました。
- 初期(1~4ヶ月)
…この時期は、精神的にも体調的にも不安定な時期となっています。過度の緊張から、治療自体に対する不快症状の増加や流産の可能性をまねく心配があるため、インプラント治療をおこなうのは避けた方が良いでしょう。 - 安定期(5~7ヶ月)
…この時期は、ようやく体調的にも安定してくる時期です。この時期にインプラント治療をおこなうのであれば、骨移植などを伴う大規模な手術を必要としないのであれば、可能です。ただし、悪阻が続いているなど、体調に不安のある方は見合わせた方が良いでしょう。 - 後期(8ヶ月~)
…この時期は、全身の血液の約20%弱が子宮に集中するため、過度の緊張から貧血を起こしたり、早産を招く可能性があるため、この時期には治療は行えません。
薬や診断機器の影響も考慮して治療を
インプラント治療・手術には、麻酔・レントゲン撮影・抗生剤や鎮痛剤の内服といったものが必要になります。そのため、妊娠中または授乳中にインプラント治療をする場合は、以下(▼)のことに注意して治療をするようにしましょう。
- 麻酔剤の影響
…インプラント手術では、歯科治療全般で使用するリドカイン(キシロカイン)という薬剤を使用します。無痛分娩に使われる量よりはるかに少ないため、胎児への影響はほとんどありません。ただし、フェリプレシンという血管収縮剤を含む麻酔薬(シタネストなど)は、分娩促進作用があるため、要注意です。 - レントゲンの影響
…レントゲン撮影をおこなうと、レントゲン線(放射線)を体に受けることになります。このレントゲン線を浴びると、胎児が催奇形性・発育遅延・遺伝的影響などの影響に晒されます。しかし、歯科で使用するレントゲン線量は、これらの障害を引き起こすと言われている量よりもはるかに少ないため、問題はないとされています。しかしながら、影響が全くゼロとは言い切れないため、レントゲン撮影には、レントゲンの散乱線を防ぐ防護エプロンの着用や、撮影回数を最小限にすることが必要です。 - 抗生物質・鎮痛剤の影響
…抗生物質の中で胎児に障害など強い影響がある可能性がある薬剤としては、テトラサイクリン系、クロファムフェニコール系、ニューキノロン系、サルファ剤が挙げられます。もちろんこれらは、妊婦・授乳中の方には使用しません。抗生剤の中でも胎児・乳児への影響が少なく、肝機能・腎機能が低下している妊婦さんに考慮して、人排泄性のセフェム系やペニシリン系の抗生剤を使用します。鎮痛剤は、通常歯科ではロキソニンやボルタレンといった酸性非ステロイド性解熱性鎮痛薬を処方しますが、これらは胎児の動脈を収縮させてしまうため使用せず、胎児に影響の極めて少ないとされる非ピリン系のアセトアミノフェン(カロナール)を使用します。これらの内服薬は、授乳中の方にも同様のものを処方しますが、念のため内服中は授乳を一時中止し、人工乳に変えていただくのがより安全です。